ソフトウエアの技術者が顧客の依頼により何らかの仕事を行う場合、その形態は本来「派遣」か「請負」しかない。そしてIT業界、特にソフトウエア開発業務に関わる業界の偽装請負問題は、皆周知の事実だと思われる。他社から技術者を月額いくらで買ってきて、客先へ「業務委託」だの「SES(システムエンジニアリングサービス)」だのと言って「請け」を装い、月額いくらで売り飛ばす(派遣する)。その技術者の本籍会社を辿っていくと、二次請け、三次請け、大袈裟ではなく四次、五次もザラに存在し、技術者の売買差益(しかも毎月!)を中間搾取する事で成り立つ会社も珍しくない。
ここ何年か、派遣法の改定や個人情報保護法の施行に引っ張られる形で、何やらゴソゴソと各方面で業界のグレーゾーンに関する“ちょっかい”が活発な動きを見せており、喧々囂々な気配も有り。もしも業界全体が法に則り、今の現状を否応なしに短期間にキッチリ改善しなければならない状況に追い込まれたとしたら、想像するのも恐ろしい、短期間のうちに大手SIベンダーがバッタバッタと倒れるのではないだろうか。誤解を恐れずに書くと、「売る方」と「買う方」、「売られる・買われる技術者」みな大人だし、誰かに迷惑を掛けているわけではなし、ましてや人命に関わる事でもなし。そんな“ゆるーい”感じからくるのが今の現状か。
重要なのは、技術者としての職探し。特に前途洋々であるはずの新卒の会社探し。会社が“派遣会社”の看板をあげていれば分かり易いが、ことソフトハウスに関して言えば、表向きは「ソフトウエアを開発してまーす!」というだけ、その実態は技術者派遣がメインの業務、という会社が珍しくない。しかし、そういう会社は決してそのままで良い、と思っているわけではないのだが、毎月の売り上げをある程度長期間に渡り安定的に確保出来る「派遣」の渦から精神的にも資金的にも逃れられない、またはそれまでの業務形態の影響で「請負」でソフトウエアシステムを開発出来るスキルが社員に(経営者にも!)無い、という状態を抱えるのが、この問題の難しいところ。
将来、色々な意味で優秀な技術者になれるかどうか、または自分の目指す方向の技術者になれるかどうかは、少なからず職場環境が影響するのは確か。自分の技術に自信が有り、信念をもって派遣技術者になるなら良いかも知れないが、そうで無い限り、技術者が「派遣」という形態で仕事にあたる事は、メリットよりデメリットのほうが確実に大きい、と私は感じる。自分の意志・希望とは裏腹に、間違ってそういう業務形態の会社に入ってしまうのは、やっぱり避けた方が賢明。
派遣法や労働基準法は労働者を守る法律である。IT業界がこれほどまでにドロドロな構造を持つに至った原因として「IT技術者には自分たちが労働者でる意識が薄い」とか「IT技術者は自分たちが損をしているにも関わらず法律の勉強をしようとしない」などの意見があるようだが、元々技術者である私から言わせて貰えば大きなお世話。自分の腕(それはソフトウエア技術のみならず)で収入や地位を勝ち取るべき技術者が、法律に頼って立場を改善しようとしても、本当に改善されるものは何もない。その為に法律を勉強せよ、など本末転倒。そんな時間が有ったら新しい技術や交渉術、リーダーシップや経営学などを勉強をすべき。その先にこそ、業界を肩で風切る自分の姿が見えてくる。と思うんだが。。。
- http://nextbt.blog81.fc2.com/tb.php/7-20a9db24
0件のトラックバック
コメントの投稿